全国的に問題となっている医師不足。もちろん千葉県も例外ではありません。2014年の厚生労働省の調査によると、県の人口10万人あたりの医師数は182.9人で47都道府県中45位。より詳しく見てみると、千葉市では264.6人にのぼる一方で、高齢化の深刻な南東部・山武長生夷隅(さんむちょうせいいすみ)地域では104人と偏っていることが分かります。

2004年に臨床研修制度が新たに導入され、医学生が研修先を選べるようになりました。その影響で、県内で唯一医学部を設置している千葉大の学生も、東京などの県外の病院へ出ていくことが増えてしまったのです。以前は千葉大から県内の病院へ医師が派遣されていたのですが、それも数が減ってきています。

そこで千葉県は、2009年度から医学生に対する修学資金の貸付制度を始めました。貸付を受けた期間の1.5倍、つまり最長で9年間県内の病院で働くことで、返済が免除されます。これまで200人以上がこの制度を使い、28人が卒業。そのうち23人が県内で働いているそうです。それに加えて2015年度からは、医師不足に悩んでいる県内の自治体病院への医師の派遣も始めています。

2017年4月には成田市に国際医療福祉大学の医学部が新設され、2020年にはその附属病院も開院する予定となっています。今まで千葉大にしかなかった医学部が増えることで県内の医師増加が期待されており、県も総額35億円を補助しています。一方、医学部の新設は国際的な医師の育成を目的にしており、地域医療の充実を求めている県と考え方がずれるのではないか、という懸念もあります。そのため、県と同大学が地域医療への貢献を盛り込んだ協定の締結も検討しています。

このように医師不足解消に向けてさまざまな体制を整えている千葉県ですが、まだまだ完璧とはいえない状況です。特に千葉市以外のエリアなら医師不足のため報酬が高いという傾向があり、転職希望医師にとっては狙い目のエリアといっていいでしょう。ドクタービジョンというサイトでは千葉県の医師求人特集が組まれているので、転職を考えてるお医者様は1度チェックしてみてください。千葉県は、医師不足だけではなく首都圏の中でも群を抜いて医療機関が少ないという問題も抱えています。そういったことを含め、医療環境の建て直しは急務といっていいでしょう。